【ティーチングキャラバンから見えるマジックの課題と解決策】

前回、未経験者へのデッキとして、「チュートリアル用・シングルデッキ」の構想をあげました。
その記事に、「ティーチングキャラバン(公式からの指導イベント)で使っている単色の30枚デッキが分かりやすくて良さそう」、というコメントをもらいました。

確かに、そちらの方が分かりやすそうです。下手にゲームの形を変えるよりも、単純にゲームの規模を縮小・単純化し、除序に複雑に、戦略的に段階を踏んでいくスタイルの方が自然で分かりやすい気がします。

ということで、ひとまずハーフデッキについて考えていきたいと思います。
が、その前にティーチングキャラバン自体が中々興味深く、今回は方向転換してティーチングキャラバン自体について考え、そこから見えたことをまとめようかと思います。


《ティーチングキャラバンとは?》
概要としては
1 8~24人ほどの人数を募集し、店舗で開催する(指導役は店舗の店員?)
2 各色5つのハーフデッキが用意されている。慣れた人は2つを合わせて60枚デッキにも挑戦できる
3 30枚のカードは、PWが描かれたデッキケース(厚紙製っぽい)に入っており、イベント終了後にライフカウンター付きのプレイマット(紙製)とカードボックス(ほどほどの大きさ。お店で200円ぐらいのやつです)と共にもらえる

と、いったところ。
公式サイトの紹介を見て感じましたが、とてもいいイベントだと思いました。
身一つで参加でき、単純に遊べ、かつ拡張性もあり、イベント終了後も持ち帰ったデッキ同士で遊ぶことができる。

特にデッキケースとカードボックスがもらえるのが上手いな、と思います。デッキケースという形があれば、デッキそのものを取っておこうと思うし、カードボックスがあれば気軽にシングルカードやパックを買いやすいですしね。

敷居が低く、遊んで楽しく、その後も期待できる、上手いイベントだなぁと思います。


ただ、少し懸念するところもあり、このシステムをそのまま用いるだけでは上手くいかなそうな気もします。

そういうわけで、ティーチングキャラバンから見える課題と解決策について記事にしたいと思います。結論として結局のところ何が分かったのか、個人としての私は何を取り入れたらいいのかを示したいと思います。

今回の記事では、まず課題を取り上げます。

それでは、ティーチングキャラバンで主眼としている項目をあげます。

1 敷居を低く設定し、色んな人にMTGを知ってもらう
2 実際にMTGをプレイして楽しいと感じさせる
3 その後のMTG活動に繋げる


の3つだと感じました。
1と2は、良くできたシステムだとおもいます。考えなければいけないことはまだ色々とありますが、それは広報や環境の工夫などの運営するハード側の問題ですね。遊び方としてはこれで十分かと思います。

ただ、どうも3が弱いかなと、ちょっと思いました。厳密に言うとティーチングキャラバンのシステムが悪いというよりマジックの環境自体の話にもなります。

その後のMTG活動に結びつける、という点ですが、このハーフデッキを1つもらったとして果たして遊べるのでしょうか? MTGの活動をしますか?
遊ぶとすれば、同じくティーチングキャラバンに参加した者同士がハーフデッキで対戦するときです。それ以外では、ほぼ無いと思います。

ハーフデッキはハーフデッキ同士で遊ぶようにゲームが設定されています。公式が推奨する他のフォーマットとの互換性はありません。
ティーチングキャラバンは必然的に、参加したプレイヤーにカードを購入して各フォーマットへの参加を期待しています。

当然の流れです。
ただ、未経験者の人がティーチングキャラバンに行き、期待通り初心者となりました。
この初心者はこの後どうなるのでしょう。どこでMTG活動をすると思いますか?

選択肢としては、
1 店舗でのフリープレイ・大会やFNM
2 独自のコミュニティでのゲームプレイ


大雑把な分類ですが、大体この2つに分けられると思います。

まず1の店舗の大会やFNMですが、これはスタンダードやモダン等です。
ティーチングキャラバンに参加した人が次にFNMに行くと……どうなるでしょう?

私は、楽しめるとは思えません。(私自身が初めてのFNMでの苦い経験があるからかもしれませんが……)
そもそもティーチングキャラバンの次のステージとしては敷居が高すぎると思います。(プレイング等の実力やデッキパワーとして)

ここでの問題は、マジックを遊ぶ敷居が軒並み高すぎるということ。
始めたばかりの人、少なくともティーチングキャラバンに参加した人が次にマジックをプレイする公の適当な場が無いことです。

これについては、ティーチングキャラバンでなく環境や店舗の問題になるので、今回では取り上げません。
ティーチングキャラバンとしての問題というと、もらったデッキで遊ぶ機会が公式に整備されていないこと。
つまり自分で行動しない限り、このデッキで遊べる機会は無いということです。

王様から、木の棒をもらって旅立ったはいいけど、いきなりバラモスレベルのモンスターとしかエンカウントしないような状況です。


このデッキを元に拡張すればいいんじゃない? と思われた方もいると思います。
私もそれで良いと思います。しかし問題は、順当なステージが無いということです。
スタンダードで戦うことを想定したとしても、このデッキの原型が残ることは無いでしょう(数枚の土地は残ると思いますが……)
何枚ものカードとお札を交換してデッキを作ればいいのですが、始めたての方にそこまで求めるのはハードルが高いと思うのです。

これに対し2の選択肢である、「独自のコミュニティでのゲームプレイ」が出来れば問題はありません。

バラモスもモンスターとしてではなく、仲間としてなら心強いものです。

資産や知識に乏しくてもデッキを貸してもらったり、対戦を見たり、シールドで構築について教えてもらいながら遊んでいけばいいのですから。

ただここでの問題は、始めたばかりの人にこういったコミュニティはないということです。

どうでしょう。みなさんの周りにはありますか? 別にコミュニティとまで言わなくても初心者に対して面倒見のいい方の1人や2人がいてくれればいいと思うのです。もし思い当たる節があれば、是非大切にしてほしいと思います。
自然と遊べるような雰囲気がプレイヤー同士で共有できればいいんですけれどね。それを常に求めるのは難しいと思います。

まぁプレイヤーの意識改革などを図るよりも、初心者の方が参加しやすいイベントを店舗側で用意するのが一番の解決だと思います。
マジック・リーグはそういう役割を担っていた気がしますが、私の知る限りだとあまり流行っていなかったですね。カジュアルマジックの需要はマイノリティ側なのかなと思う要因です。

そんなわけで、ティーチングキャラバン自体はとてもよくできたシステムだと思うものの、環境とそぐわないところがあるのも確かだと思う、という話でした。

最後に、ティーチングキャラバンから見えた課題をまとめると

1 未経験者 ⇒ ティーチングキャラバン までの道のりはよくても、その後に公的な場で遊ぼうと思うとグッとハードルが上がる点
2 初心者が加入しやすいコミュニティ、又はイベントの存在が必要な点

デッキ自体は悪くないけど、環境に合っていない……な感じでしょうか。マジック的表現ですと。

次の記事では、今回の課題に対する解決策と、結局のところ私は分かったことの何を取り入れたらいいのか、について書きたいと思います。

コメント

みかぜ
2015年9月8日16:58

リンクさせて頂きました。
私は最近MTGを始めたのでこの一連の記事は楽しく読ませて貰いました。

そんちょう
2015年9月8日22:01

コミュニティは大事ですね。
不要カードを貰えたり、デッキの作り方など教えてもらったりと得るものが多く、対戦相手にもなります。

私がMTGを始めたばかりのころは、まず誘ってくれた友達にルールを教えてもらいデッキを作ってもらって始めました。
その後、部活というコミュニティからMTGユーザーが増えて、ショップにも行くようになりました。
近くにショップがあったことも追い風でした。

また、塾に行っている人たちは塾の先生からカードを貰ったりしていたようで、当時は羨ましいと思ってました。

フゥ
2015年9月9日20:48

>>みかぜさん
コメントありがとうございます。
自分の為と思って記事にしていますが、反応をもらえるととても嬉しいです。
お互いに楽しくMTGをプレイしていきたいですね!

>>そんちょうさん
本当にそうですよね。コミュニティって大切だと思います。

私も小学生の頃に遊戯王をやっていましたが、対戦したり交換したり喋ったり……あの頃の遊びはそれ自体が一つの言語といってもいいほどの重要な存在でした。

ちょっと年上のお兄ちゃんが気前よくカードをくれるので、そのお兄ちゃんは大人気でしたねw

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